第304話彼が何もしなかったことを一番祈って

「聞いたって? スティーブンスさん、どこからそんな話を? まさかスティーブンスさんが、そんなに噂話を聞くのがお好きだとは知りませんでしたよ!」

ダニエルは瞬きひとつせず、言い返した。

認めはしない。

だが、完全に否定したわけでもない。

アクセルは意外にも気のいい笑い方で笑い、「噂でも、火のないところに煙は立たないだろ? スミスさん、スティーブンス家が君と競るのが怖くて、だから認める勇気がないんじゃないか? スミスさんが本気で欲しいなら、スティーブンス家としても譲ってやらなくはない――提示額が十分なら、だけどな!」

まるで、その案件がすでにスティーブンス家のものだと言わんばかりの口ぶり...

ログインして続きを読む